共謀罪を廃止する!

共謀罪は廃止しなければならない」神奈川集会に参加し
 (報告と感想)

集会に神奈川新聞が取材に入り、記事になった。
「『共謀罪』は弾圧の手段」海渡弁護士招き勉強会

雨の中を続々と集まる・・
 10月28日(土)、開港記念会館で開催された集会に実行委員の一人として参加した。
台風接近による雨模様の中、110名定員の1号室がほぼ満杯になり、「共謀罪」成立後も
衰えない(諦めない)人々の、この悪法に対する関心の高さが感じられた。


 講師の海渡弁護士は、秘密法・盗聴法・戦争法などの一連の闘いで常に先頭に立ち、
また原発訴訟も先導されるなど「闘士」という印象があるが、穏やかで親しみやすい
話し振りで、複雑な問題を分かりやすく整理して話してくださった。

 話された内容は多岐に渡るが、当日のレジュメを要約すると、
1.共謀罪の危険性とプライバシーの危機
2.政府提案に残っている濫用の危険
3.国連特別報告者カナタッチ氏の指摘
4.共謀罪廃止のための運動の課題
5.プライバシー保護のための第三者機関の構想
6.共謀罪のある社会の中で、市民活動を続けるために
などであり、さらに質疑応答からも多くの刺激と示唆を受けることができた。

四審制?!
 特に今回の講演の眼目の一つでもある「国際人権法」の話は、目から鱗であった。
国際社会には「世界人権宣言」をはじめとして様々な国際的な人権規約があり、既に
EUなど一部の地域では、裁判をするにあたってその国の法律だけでなく、さらに
国際的な人権基準をも参照する(日本でいうと、いわば四審制!)とのことだった。

 ちょっと想像しにくいが、言われてみると確かにそうあるべきだと思えてくる。
「基本的人権」は、誰にとっても普遍的なものであるのだから、個々の国を超えた
国際的な取り組み、協力こそが必要なのだ。
今回初めてその名称を知った「国際連合特別報告者」のカナタッチ氏の活動も、
国際的な人権基準の立場からなされたものなのだ、と深く納得できた。
様々な社会運動に対する視野を、国際的なものにまで広げていかなければと痛感した。


廃止の先に見えるもの
 共謀罪を廃止するだけで足りるのか、という視点を得られたことも収穫だった。
いったん共謀罪が発動されれば、プライパシーが深刻に侵害されることが目に見えて
いる。国際的な人権基準(カナタッチ氏)に照らせば、プライバシー保護のために
当然必要とされる「独立した第三者機関」は日本にはまだ作られていない。

 仮に運動の成果で将来、共謀罪が廃止となっても「独立した第三者機関」の存在は、
これからの日本が同じような問題を繰り返さないようにするためにも必要だ。
共謀罪廃止の闘いは、基本的人権を侵害させないような仕組みを私達がどう作っていくか
という具体的な構想を描き、実現させていく歩みと表裏一体のものなのだ、と感じた。

一人ひとりの思いからなる運動を
 最後に会場から出た質問に答えて、憲法9条改悪阻止の運動についても語られた。
自衛隊がそれなりに国民の中に受け入れられている、という現実があることは認めても、
そうした思いと9条に書き込むこととの間には大きな差異がある、と指摘された。

 国民が認め、支持しているのは災害派遣時の自衛隊である。だが、9条に書き込まれる
自衛隊は、「戦争法」により米軍と共に地球上のあらゆる場所で戦争に参加する
軍隊としての自衛隊だ。戦争法成立前に入隊した自衛官本人、さらにその家族達、
一般の人も含めて私達は、自衛官がよその国へ行って、その国の人々と殺し殺され
るようになることを予想し、望んでいただろうか。殺したくない、ましてや殺され
たくないという一人ひとりの思いは、自衛官やその家族も含めて同じに違いない。
そのような思いに立脚した運動を広げていこう。
(今ならまだ人前で口に出して言える。今やらなければ、とこれは私の感想)


「共謀罪の廃止を求める11.1院内集会」
 最後に、「共謀罪の廃止を求める院内集会」の呼びかけをされて、講演を
締めくくられた。
とき:11月1日(水) 13:30~15:00
場所:参議院議員会館講堂
資料代:500円
主催者:共謀罪NO!実行委員会

 なお、この日は12時~13時、衆議院第二議員会館前において、
「安部9条改憲を許さない!森友・加計学園疑惑徹底追及 安倍政権の退陣を
 要求する11.1国会開会日行動」が、安部9条改憲NO!全国市民アクション、
 総がかり行動実行委員会、共謀罪NO!実行委員会の主催で行われる。

 さらに、11月3日(金)14:00~15:30には、国会議事堂周辺において
「国会包囲大行動」が、安部9条改憲NO!全国市民アクションの主催で行われる。

 参加できる方は、是非とも参加しましょう!(文責:O.J)

         集会アピール
2017年6月15日、国民の思想・良心の自由を侵す憲法違反の「共謀罪」法の採決が
参議院本会議で強行され、自民・公明・日本維新の会の賛成多数で可決されました。

審議すればするほど疑問点や新たな論点が明らかになり、追い詰められた安倍政権は、
参議院法務委員会での審議を一方的に打ち切り本会議に持ち込む「中間報告」という
「禁じ手」を使って異常な強行採決を断行しました。さらに、異例の速さで7月11日に
「共謀罪」法が施行されました。

この共謀罪法とその施行は以下のように多くの重大な問題を有しています。

第一に、人の生命や身体、財産などの公益を侵害する危険性が客観的にはない「合意」を
処罰することにあります。犯罪の実行について話し合い・合意したことを処罰する共謀罪は、
犯罪実行(既遂)の処罰を原則とする刑法の原則を根本から揺るがし、思想・信条の自由、
表現の自由を侵し、話し合いを基盤とする民主主義をも破壊するものです。

第二に、特定秘密保護法により知る権利の制限、通信傍受法の改悪、さらに、戦争法により、
言論・表現の自由に対する制約が急速に進んでいる上に、「共謀罪」法によりますます捜査機関
による監視が合法的に行われる危険です。現在でも、「岐阜県大垣署による市民監視事件」
などにあるように、犯罪とは無縁の市民の人権やプライバシーを深く侵害する活動を行って
いるにもかかわらず、それに対して、全く反省のない警察の活動に法的根拠を与え、深刻な
人権侵害を引き起こす危険性です。

第三に、政府は、国民に対し国際組織犯罪防止条約(TOC条約)締結に不可欠とかテロ対策の
為に必要との虚偽の説明をしている点です。
TOC条約を締結するための国連立法ガイドを起草したニコス・パッサス教授が、
「条約の目的はテロ対策ではない」と断言しているように、TOC条約はマフィアなどの
国際的な経済組織犯罪の取り締まりを目的としたものであり、テロ対策の条約ではなく、
「共謀罪」法もテロ対策とは無縁の法律です。

第四に、国連人権理事会が任命した特別報告者、ジョセフ・カナタチ氏から、「共謀罪」法案が、
プライバシー権や表現の自由への「過度の制限」になると強く懸念する書簡が、安倍総理に
届けられたことに対し、日本政府が、カナタチ氏からの質問に一切答えないまま、法案を強行採決
したことです。そして、日本政府は共謀罪法施行後に、回答を送付したとは言え、その内容は
カナタチ氏の指摘に全く答えたものになっていません。これは、日本政府が、国連人権理事会の
理事国として国際公約した「特別報告者との建設的な対話」を反故にしてはばからない態度です。

安倍政権による憲法改悪への暴走と戦争への危機的状況に対して、立憲主義・平和主義・民主主義を
取り戻すために、日本国憲法を守り生かし、特定秘密保護法と戦争法に加え、現代の治安維持法とも
言える「共謀罪」法を廃止する闘いに力を合わせるときです。そして、必ず、共謀罪を廃上しましょう!

以上宣言します。

2017年10月28日  「共謀罪は廃止しなければならない!」神奈川集会 参加者一同