教科書採択問題2016

特定の教科書を排除したままの教科書採択に抗議する

神奈川県教委による実教排除、なおも続く
―16校が「高校日本史A 新訂版」を選定し、採択承認させる―



 10月12日(水)、県教育委員会で来年度使用の高校教科書の採択がありました。

 2013年の「再考」強制以来排除を続けて来た実教出版日本史教科書2冊のうち、
 新訂版が出た「高校日本史A」については希望した16校の採択を承認しましたが、
 「高校日本史B」については採択希望ゼロの異常な状態が今年も続いています。




会議終了後、私たちは市民とともに桐谷次郞教育長に対して以下の抗議を行うとともに、抗議書を手渡しました。

<抗議要旨>

実教出版「高校日本史」教科書排除の事実を改ざんする 県教委の「採択決定」に抗議する

~憲法の「学問の自由、思想・良心の自由、表現の自由、国民の教育権」に基づき、 国際的基準であるILO・ユネスコ「教員の地位に関する勧告」を尊重せよ~

今日、神奈川県教育委員会は、多くの市民・教職員による6000筆をこえる要請署名や5名6件の請願に応えることのないまま、実教出版「高校日本史B」を排除させた「採択希望」を容認しました。2013 年から本年に至るまで、特定の教科書に対して不当な弾圧が続いている異常な事態だと言わざるを得ません。私たちは以下の抗議をします。

1.実教出版の教科書を選定・採択の候補から排除している事実を認めないまま、「各学校において校長が最終的に 責任をもって使用希望教科書を適切に選定している」とする事実を曲げた説明を再びおこなった。

2.2015 年4月の校長対象の教育課程説明会における以下の問題点がまだ残されている。
2015 年、県教育委員会は 2013 年度以来の実教出版日本史教科書「再考」問題について「経緯を説明した」とするが、2014 年の県教委の指示(=「実教は採択されない。候補にあげることも不可」という指導主事の発言を明確に訂正しなかったために、各学校では実教出版「高校日本史AおよびB」を希望させない状態が続いている。

3.教科書採択において綿密な調査研究に基づいた教科書の選定を行うために、教員には不可欠な役割がある。

4.そもそも実教出版「高校日本史A、B」を排除する「再考」の権限は県教育委員会にはない。


今回、実教出版の「高校日本史A新訂版」が16校で採択された事は当然である。

しかし、校内の教科書選定では依然として「高校日本史B」の採択を許さない状態を維持したまま教員に自己規制や諦めを強いる実態がある以上、採択が適切に行われたと言うことはできない。神奈川県教育委員会は、市民や教職員による要請署名及び請願を真摯に受けとめ、特定教科書を事実上排除している体制を改めることを強く求める。

2016 年 10 月 12 日  

                                   学校に「思想・良心の自由」を実現する会
                                      公正な教科書採択を求める県民の会